シグネチャーパビリオン 福岡伸一プロデューサー

「いのちを知る」いのち動的平衡館

設計 / 施工
About

生物学者・福岡伸一プロデューサーによる「いのちを知る」をテーマにしたパビリオン

パビリオンは、生命が「動的平衡」を保ちながら、うつろいゆく流れの中で、ひととき自律的な秩序を表す姿を体現しています。
本展示では、光のインスタレーションによって、生命観を根底からやさしく揺さぶり、生きること・死ぬことの意味と希望を再発見する体験をお届けします。

© DYNAMIC EQUILIBRIUM OF LIFE / EXPO2025
Member
Producer

SHIN-ICHI FUKUOKA

  • 生物学者
  • 作家

1959年東京生まれ。京都大学卒および同大学院博士課程修了。ハーバード大学研修員、京都大学助教授などを経て、現在、青山学院大学教授・米国ロックフェラー大学客員教授。サントリー学芸賞を受賞し、87万部を超えるベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』シリーズ(木楽舎)など、”生命とは何か”を動的平衡論から問い直した著作を数多く発表している。また、大のフェルメール好きとしても知られ、最新のデジタル印刷技術によってリ・クリエイト(再創造)したフェルメール全作品を展示する「フェルメール・センター銀座」の監修および、館長もつとめた。2025年の大阪・関西万博で、テーマ事業「いのちを知る」を担当。

Creative Partner

NAOKI HASHIMOTO

  • 建築家
  • 株式会社NHA | Naoki Hashimoto Architects

1985年愛知県生まれ。京都大学工学部建築学科卒業後、東京大学大学院在学中にポーラ美術振興財団在外研修員としてAteliers Jean Nouvelに勤務。帰国後、内藤廣建築設計事務所を経て、2019年より橋本尚樹建築設計事務所(現・株式会社NHA)主宰。現在は京都先端科学大学客員准教授としてキャンパス計画にも携わる。主な仕事に「玉造幼稚園」、「丹波山村庁舎」などがある。

Creative Partner

  • デザイン・イノベーション・ファーム

Takramは、世界を舞台に活躍するデザイン・イノベーション・ファームです。未来をつくる人、変化を生み出す組織のパートナーとして、プロダクトからサービス、ブランドから事業まで、デザインの力でイノベーションを生み出していきます。東京・ロンドン・ニューヨーク・上海の4つの都市にスタジオを構えています。

Topics

01「ふわりと浮かんだ屋根」の仕組み

いのちのゆらめきを表現する膜屋根を支えるリング状の鉄骨は、様々な曲率の円弧を組み合わせて、自由な3次元の曲線を描いています。その上に、膜屋根をふわりと載せることで、「いのちのゆらめき」を表現しています。
複雑な形状のため、基本設計(株式会社NHA)の段階からBIMを導入し、形状の検討を進めました。実施設計・施工検討においても、膜取付け材などの2次部材の設計や、重心位置が分かりにくく不安定な鉄骨の建方検証など、様々な場面でBIMをフル活用しています。

Building Information Modelingの略
実施設計段階のBIMモデル

02ケーブル張力のシミュレーションによって高精度な施工を実現

膜屋根で、「ふわりとした細胞膜」のかたちを実現させるために、リング状の鉄骨にケーブルを格子状に張り巡らせ、15回に分けてケーブルに張力をかけながら、鉄骨を変形させていきます。
緻密な施工時解析により15ステップのケーブル張力の導入手順をシミュレーションしています。現場ではケーブルの張力、鉄骨の変形量を計測し、シミュレーション結果と合致していることを確認しながら張力導入を行っています。

ケーブル張力導入作業中

03ケーブル張力の施工手順

ケーブル張力の施工時解析は、STEP15からSTEP0にかけてカウントダウン形式としています。リング鉄骨の変形量は青を基準(0)として、赤に近づくほど大きく変形していることを表します。STEPが進行するにしたがいケーブルが緊張され、鉄骨の変形量が大きくなり、完成時には全体のバランスがつり合った状態になります。

STEP15:ジャッキダウン鉄骨自重変形時
STEP13:ケーブル架設時
STEP5:正面リッジケーブル緊張時
STEP0:長期荷重完成時
ケーブル張力の施工手順
Message

万博でないと
体験できない斬新さ

所長 境 治彦

福岡プロデューサーの「動的平衡」の考え方を具現化して設計された本パビリオンは、細胞が、今まさに生まれようとしている状態を表現しています。
基礎リング・屋根リング・格子状ケーブルの3要素で平衡状態を形成した25m超の無柱大空間は、これまで誰も建てたことのない、絶妙なバランスの上に成立している建築物です。

この非常に難易度の高い建物を実現させるために、福岡館の設計・施工チームが英知を結集し、様々な検証を重ねて挑みました。万博という実験場でしか実現できない建物になっていると思いますので、展示だけではなく、建物自体の面白さも楽しんでもらえればと思います。

万博会場内には、いろいろな形や素材を使った建物がたくさんあり、歩いているだけでも楽しいです。
元請業者も多種多様ですが、たまたま通りすがった他の施工者の人たちとも「こんにちは!」「おつかれさまです!」なんて挨拶を交わしたりしていると、みんな万博の会場をつくっている仲間なんだなあ、という気持ちが湧きます。
普段の現場ではなかなか味わえない、素晴らしい経験をさせてもらっていることに感謝です!

福岡プロデューサー現場視察の際に鉄骨に関係者全員の署名をいただきました
Gallery
2023/11福岡プロデューサー着工時視察 集合写真
2024/03福岡プロデューサー工場視察
2024/05鉄骨最上部の取付け
2024/06うねり上がる鉄骨
2024/08パビリオン全景
2024/09膜取付けの様子
2024/09膜取付けの様子 福岡プロデューサー視察
Outline

いのち動的平衡館

発注者
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
基本設計
NHA | Naoki Hashimoto Architects
実施設計
鹿島建設・NHAグループ
施工
鹿島建設
建築面積
943㎡
延床面積
967㎡
規模
鉄骨造/サスペンション膜構造1階